二重窓にすればピアノの防音はできますか

郊外の住宅地にお住いのYさんからのご相談の第一声は、「二重窓でピアノ音漏れは塞げますか?」というご質問でした。そして私は、夜中や早朝に演奏をしないのであれば、マンションでも戸建てに関わらず、窓の工事と工夫で、大概は、ご近所にご迷惑をかけることがないようにすることができます。とお返事をし、そして、絶対はないので、必ず音漏れ調査を最初にさせて欲しいことをお話しさせていただきました。

Yさんのお家は、築20年の木造のお家でした。Yさんは建築図面を用意してくださっていましたが、壁の中身の様子については情報がありませんでした。そこで私は、コセントプレートを外させていただき、壁の中を調べさせていただきました。

壁の中を調べるのは、断熱材の種類と厚みによって、防音性能が大きく変わるからです。そして壁の防音性能の見当をつける上で外壁の材料と厚みと工法も防音性能に大きく関わるので、私はからならず壁についてはこの2つを必ずチェックします。

私が窓よりも壁を気にするのは、内窓で窓からの音漏れはいくらでも止めることはできますが、内窓工事は壁を防音できないからです。私の頭の中はいつも、壁から外に漏れるピアノの音は無視できるほど小さな音なのか。無視できないのであれば壁からの音をどうやって静かにするか。このことでいっぱいです。

隣地境界付近でのピアノの音漏れの計測

Yさんの場合は、ピアノの位置を変えました。そして、ピアノ室が細長いので、ピアノ大屋根等を利用して、音の広がりをコントロールしました。インシュレーターを見直しとグランドピアノの直下の床一部だけにカーペット増やさせていただきました。Yさんのピアノ室は1階にあり、床下から漏れている音が大きかったからです。

音漏れの様子はこう変わりました

Yさんからのメール(抜粋)

外に全く漏れない訳ではありませんが、音は小さく、歩行者のしゃべり声やたまに通る車の音でかき消されてしまいます。これであれば、お隣のお家の中には、聞こえていないはずです。おかげで気兼ねなくピアノを弾けるようになりました。